お知らせ

『サイ富豪』ができるまで

2019.11.18


●サイ富豪と大富豪
学生の頃、トランプの「大富豪」をやり込んだ経験はあるでしょうか?
作者が小学生6年生の時、クラスで大流行しました。
休み時間になると、机をくっつけて「大富豪」を遊んでいました。

ゲームが終わると、すぐにカードはシャッフルされて、新しく始まります。

大富豪や大貧民といった役職は、次の休み時間まで引き継がれます。
さらに、日を跨いで次の日にも・・・。
ハートの3は折れ曲がり、裏からでもすぐに分かるほどでした。

しかし、その幸福な時間は突如として終わりを迎えます。

学校でのトランプが禁止になったのです。
クラスの皆はブーイングし、私自身も大きなショックを受けた、そんな記憶があります。

●大富豪の面白さ
さて、「大富豪」の面白さの核とは、何でしょうか。

当時のことを振り返ってみると、
「大富豪」の面白さは、
同じメンバーで何度も繰り返し遊び場が醸成されることで、
初めて体験できるのではないかと。

学生ではない今、なかなかそのような機会を得ることは難しい。
それでは、「大富豪」の面白さを、なるべく凝縮して伝えられないだろうか?

そんなことを念頭に置いて、サイ富豪を作りじめました。

当時のことを思い出しながら考えた、2つのキーワードは、不公平さとスピード感です。

不公平さとは、言うまでもなく、カード交換により大富豪・富豪の手札が強くなり、大貧民・貧民の手札が弱くなることです。

手札が最初から決まっているゴーアウト系では、手札運の比重が大きめですが、
革命と都落ちという2つのルールが、ゲームに振り幅を生んでいます。
大富豪の不条理な強さに対しても、逆転できるのではないか・・・。

もう1つはスピード感です。
とにかく手札をなくすことに集中する。スピード感は一体感を生みます。

●サイ富豪の変わったところ、変わらないところ
本来は何度も繰り返して遊ぶことで生まれる面白さを、
場が醸成されるまでの時間と面倒さを取り除いた形で提供できないだろうか・・・?

まず1つ変えた点は、最初のゲームから役職があり、ゲームの始まる前にカード交換がなされることです。
つまり、最初から大富豪役(ゲーム内では”サイ富豪”と呼ばれます)のプレイヤーが決まっています。
カード交換は、これからゲームが始まるという儀式的な役割もあります。

サイ富豪プレイヤーは1位にならければなりません。他プレイヤーはサイ富豪の上がりを阻止します。
必然的に1対多のチーム戦のような構造になりました。

さらに、ナポレオンの副官的な存在である助手が存在します。

助手プレイヤーは、唯一サイ富豪の味方です。
助手プレイヤーは、「1枚で場を流し、次のリードプレイヤー権をサイ富豪に移譲する」という最強のカードを持っています。
そのカードがプレイされるまでは、誰が助手かは分かりません。

カードの出し方や強さは、基本的には大富豪のルールを踏襲しています。

テストプレイでは、スートを2つや3つに減らしたり、5つに増やしたり、
1スートの枚数を少なくしたり増やしたりと色々と試行錯誤をしましたが、
スートは4種類、初期手札は12-14枚が最適なのではないかという結論になりました。

「大富豪」にはローカルルールが数多く存在します。8切り、縛り、激しば、11バックや、スペ3返し、10捨てなどなど。
ローカルルールの多様化によるルールの複雑性が、気軽に遊ばれない理由の1つかもしれません。

サイ富豪で、唯一採用したルールは、8切りです。
8を出すことで場が流れ、次のリードプレイヤー権を得られるルールです。

スピード感を保つために、このアクセントが必要と考えました。
速さが担保され、起伏もできる。
8切りを無くしてしまうと、一気に冗長になります。

革命も存在します。

今回、若干革命が起こりやすいようなカード構成にしました。
ジョーカーがない本ゲームでは、革命が起こることはサイ富豪プレイヤーにとって痛手になりやすいです。

他にも、11バックや縛りなどは良いルールと思っておりましたが、
戦略性と引き換えに若干スピード感は失われルため、採用しませんでした。

サイ富豪では、サイ富豪が1位で上がるかどうかのみに焦点が当てられています。
そのため、他プレイヤーは、いかにサイ富豪の邪魔をするかが大切です。

基本的に、1位が決まるとゲームは終わります。
けれども、サイ富豪と助手のワンツーフィニッシュが目指せる時だけは続けます。

というわけで、サイ富豪は「大富豪」を遊んだことがある方にもない方にも1度は遊んで欲しいなと思っています。

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